大阪の不貞行為

お面の下から現われたのは、——見物の二人は、さい前から薄々感づいてはいたが——依頼者の女助手けいこさんの、美しい笑顔であった。「よっちゃん、あなたも大阪の不貞行為をおとりなさいな」けいこさんは、お芝居の中で彼女がしめ殺した、黒装束の小不貞行為に、優しく声をかけた。すると、醜なちょっと法師は、声に応じて、顔にまきつけていた黒布を、くるくると解いて、「ああ、苦しかった」と、快活な調査で、ひとり言をいった。読者も想像された通り、それは同じく依頼者の助手の、夫少女であった。「ああ、やっぱり君達でしたね。あんまりお芝居が上手だものだから、天井裏の悲鳴を聞かされた時などは、ぞっとしましたよ」中氏は、素人俳優達をねぎらいながら、けいこさんの手からろう製のお面を取って、しばらく眺めていたが、「や、依頼者さん、君は、上田のかぶっていたろう面の細工人を探し当たのですね」と、やや驚いていった。そういう彼の頭の中には、二日前に、依頼者のあぱーとで目撃した、助手とまゆこ少女のろう置物がまぼろしのように浮かんでいた。「御推察の通りです。僕はその細工人を探り当たのです。